
こんにちは、永楽町です。このたび、コミックマーケット106にて初めてサークル参加をしたので、記録も兼ねて当日の流れや課題に感じた点など書き連ねていきます。
コミックマーケット106について
そもそもコミケとは
そもそもコミックマーケットとは何なのかをご存じのない方に説明いたしますと、コミックマーケット(通称コミケ)は世界最大級の同人誌即売会です。
2025年で50周年を迎えたそうで、かなり長い歴史を誇ります。おおむね8月と12月の年2回開催であり、それぞれ夏コミ・冬コミと呼ばれます。コロナ禍前まで3日間開催&入場無料(ただしカタログを購入することが普通)でしたが、コロナ禍後は2日間開催&リストバンド購入必須となりました。
今回のコミケ(C106)は、1日目(8/16)が13万人、2日目(8/17)が12万人訪れたそうです。参加サークルは、2日間で約22700スペースでした。会場の東京ビッグサイトが大規模改修工事を行っていた影響で、前回よりも参加者数・参加サークル数ともに減少しました。
同人誌とは?
同人誌とは、同じ趣味趣向を持った同士が自主的に制作・執筆・発行した本のことです。同士らのグループのことを「サークル」と言います。個人で参加する人もいます。また、本のみならず自作ゲームやグッズなども頒布できます。制作物のジャンルにほぼ制限はなく、なんでも頒布できます(法律・コミケ運営ガイドラインの範囲内)。
コミケはよく、成人向けの本を求める人々が多いがために、そういったジャンルのみ頒布している場であるという誤解が一部生じていますが、そんなことはありません。ゲーム・アニメ作品の二次創作物や自作のアクセサリー、鉄道関連書籍や専門的な技術書、オリジナルの漫画やグルメの本などなど、いろいろな制作物が集結する場なのです。
頒布物・ジャンルについて
どんな本を頒布したのか
私はマインクラフトで日本風現代都市「永松(ながまつ)」をつくっています。2021年から開発を開始し、都市面積は2.5㎢を超えました(2025年現在)。開発開始とほぼ同時にX(旧Twitter)にて進捗を報告していろいろ反応をもらいながら続けていました。

開発開始から3、4年ほど立った頃、私は自身の構築している世界について何かしら新たな形で発信出来たらいいなと思い立ちました。そこで思いついたのが、本にまとめてコミケで頒布するというものでした。
本の内容は、読んだ方が都市計画・土木・建築に対して興味を抱いていただけるようなものとすることを念頭にしました。具体的には、永松中心部の各地区の紹介、橋や城郭の堀、街路網といった土木構造物の紹介、都市開発の変遷の3章立てにしました。

本の大きさは多くの同人誌が採用しているB5、ページ数は全38ページです。永松の都市景観をしっかり伝えたかったため画像多めでフルカラーにし、頒布価格は1000円にしました。
もし興味がありましたらBOOTH(自主制作物販売総合サイト)にて販売しておりますので、ぜひご覧ください。

印刷は京都の大手印刷会社であるグラフィックに依頼しました。グラフィックには「コミグラ」という同人誌印刷に特化した部門があり、こちらを利用しました。⇒https://www.graphic.jp/comic
申し込みジャンルについて
今回初のサークル参加に際して、私は「評論・情報」ジャンルで申し込みをしました。評論・情報はかなり雑多なジャンルであり、地理や建築、グルメやエッセイ、廃墟や政治思想などなど、他ジャンルに属さないようなとにかく多種多様な頒布物が集結します。
今回このジャンルで申し込んだ理由は第一にマイクラ都市を通じて都市計画・土木・建築といった学術寄りの事柄について発信したかったこと、第二に評論ジャンルに一種のあこがれがあったこと、第三に他ジャンルよりもハードルが低そうだと感じたことが挙げられます。
当日の流れ
6:30 起床・準備
私は東京近郊に住んでいるため、自宅から会場へ直接向かいました。遠方にお住まいの方は前日に上京してホテルに泊まる方がほとんどだと思います。昨今はインバウンド(訪日外国人観光客)が爆増している影響により宿泊費が高騰していたかと思います。今後、コミケやその他イベントに参加される方の内、遠征費を極力抑えたい方は神奈川や埼玉で宿泊すると良さそうです。
今回のサークル参加にあたり、私はなるべくかさばらない格好で会場に向かおうと考えました。そのため、頒布物は「コミグラ」の直接搬入サービスを利用しました。このサービスはその名の通り、印刷会社が宅配企業を利用してサークル主の代わりに頒布物を会場へ送ってくれるというものです。そのため、私が持参するものは以下のようなもののみでした。

- ポスター入れ
- A1ポスター(ポスター入れへ)
- 組み立て式背面ポスター立て(ポスター入れへ収納)
- 見本誌置き
- 金庫
- 保冷バッグ
- 軽食&ペットボトル(保冷バッグへ)
- お金受け皿
- 両面テープ
- 敷布
- モバイルバッテリー(リュックへ)
- 暇つぶし用の本(リュックへ)
- もろもろのペン(リュックへ)
自宅を出た後、最寄り駅の牛丼チェーン店で朝食をとりました。普段もそうですが、コミケのような大型イベントに参加する際には必ず朝食をとりましょう。朝食をとることは熱中症対策にもつながります。
朝食後、コンビニで昼食用のサンドイッチとペットボトル2本を買いました。コミケ会場周辺に行ってから買おうとするのはやめたほうがいいです。高確率で午前中に食料も飲料水も消えています。会場に向かう前に買っておきましょう。また、買ったものは保冷バッグに入れて持っていくと良いと思います。
8:00 入場
サークル参加者は8:00~9:30までに会場に入るようにとの事前案内がありましたので、その時間帯に到着するようにしました。国際展示場駅はものすごい混雑で、地上に出るまで4分ほどかかったと思います。

一般参加者の列がもうすでに出来上がりつつあり、この炎天下でこれから2~3時間も並ぶのかと思うと、すごい精神力・忍耐力がある方々だなと改めて感慨深くなりました。私は3年ほど前に一般参加しましたが、その時は11時に並び始め1時間ほどで入れましたので、人気サークル狙いの方々の熱意はすさまじいなと感じました。
サークル参加者は並ばずにすんなり入ることが出来、そのまま私のスペースがある東5ホールへ向かいました。
8:20 設営

8:20頃に東ホールに入りました。ホール内はクーラーが効いていて涼しかったです。すでに多くのサークル参加者が準備を始めていました。私のスペースは通路沿いの誕生日席の隣、島中の端でした。

頒布物が搬入されてなかったどうしようと少し不安でしたが、ちゃんと机の下にありました。中身を確認してみると「余部」という印刷会社がサービスで付けてくれた本が5部ありました。この余部というのは必ずしもあるわけではないらしく、0の場合もあれば10部以上付くこともあるらしいです。
ちなみに、直接搬入サービスを利用すると事前に自宅に頒布物の見本が1~2部ほど届きます。ちゃんと出来を確認できるので安心です。もし問題があれば期限内にグラフィックへ連絡して修正できます。
8:50 設営完了・トイレへ

持参したものを取り出して準備を進め、8:50に設営を完了させました。設営してみるとかなり簡素な印象を受けました。あまりにも装飾やマイクラであるというアピールが不足していたので、次回は改善したいと思います。
設営後はトイレに行きました。本当は小だったのですが、間違えて大の列に並んでしまいました。参考までに、開場前にもかかわらず大は並び始めてから個室に入れるまで5分ほどかかりました。小はすぐにたどり着けます。女性はどちらの場合でも5分前後かかるのではないかと思います。個人サークルの方は開場時間までに用を済ませておきましょう。基本的に開会中はトイレ休憩に行く時間は取れません。


トイレ休憩の後、すこし会場内外の様子を見て回りました。9:15頃にはほぼすべてのサークル参加者が準備を終えており、外には待機列ができていました。席に戻ってXにて設営完了ポストをした後は、しばらく席で本を読んでいました。
10:15頃に20代くらいの男性が「見本を見てもいいですか」と声をかけられました。友人や知人以外の方に初めて本を見ていただくことになったので少し緊張しましたが、「すごいですね」といった感想をいただけたのでとても嬉しかったです。
ちなみに、開場時間外に頒布はできませんのでご注意ください。ただし、見知ったサークル同士だと差し入れや新刊交換などがあるそうです。
10:30 開会
開場と同時に、多くの参加者がホールに入ってきました。ところが、多くの方は評論ジャンルを通り過ぎて隣のジャンルに駆け出していきました。それもそのはず、隣は男性向けジャンルであり、皆自身の求める宝に突き進んでいたのでした。その後、しばらくは通りかかる人も少なく、ほんとに頒布できるのだろうかとドキドキしていました。
すると10:48頃、20代くらいの男性が「1部ください」と声をかけてきました。完全に油断していたので、とっさに感謝の意を伝えお金をいただき、本を手渡すとそのままどこかへ行かれてしまいました。「見本見てもいいですか」「どうぞご覧ください」というやり取りもなくすんなり頒布できたことに、内心あっけにとられましたが、すぐに嬉しさがこみ上げてきました。
以降、さまざまな方々が訪れてくださりました。以下に時系列で内容をまとめました。
開場〜11時台(午前の部)
- 6部頒布
- ほとんどが20代らしき男性、見本誌を確認してから購入。
- コメントや交流(YouTubeの有無、鉄道MODの話題など)あり、ディープ層が多い印象。
→「熱心な評論島巡り層」に支えられている時間帯か。
12時〜13時台前半(昼の部)
- 14部頒布
- 女性(30代・40代・50代らしき方々)や海外勢(オーストリアの方)など、層が広がる。
- 感想や「ネットで見た」「おつかい」などの声があり、事前告知・口コミが効いている印象。
→ピークが始まり、通りがかりや広い層にリーチしたか。 - 人口密度が上がり、気温・湿度が上昇
13時台後半〜14時台(ピークの部)

- 20部頒布
- ほとんどが20代らしき男性、見本誌を確認してから購入。
- 特に13:50〜13:55の6分間で7部連続頒布と最大の山。
- 見本誌から頒布に繋がるケースが多く、机前の混雑が購買意欲を刺激している可能性。
→「行列・人だかり効果」で一気に訪れたか。 - 人口密度がさらに上がり、気温・湿度がピーク、座っていても背中が少し汗ばむ程度
15時以降(終盤)
- 6部頒布
- 見本誌を見る人はまだ多かったものの、頒布率はやや低下。
- ただし、1日目にマイクラ本を頒布していた方が訪れてくださったり、「参考にします」といった声掛けなどがあったりと、明確な目的を持った層が来訪した印象。
→遅い時間は同好者寄りの層が多いか。 - 人口密度が低下し、気温・湿度が下がる、多少過ごしやすい
16:00 閉会

大きなトラブルもなく無事に閉会を迎えました。昼のピーク時比べると人通りは少なくなっていたものの、最後まで上画像程度の混雑度で推移していました。終了時に特徴的だったのは、アナウンスによる全体拍手の後、評論島と隣の鉄道島で三本締めが行われ、鉄道島では引き続いて万歳三唱が行われていました。こういった島ごとの文化の違いが興味深く感じました。

上グラフは頒布数と時系列の関係を表したものです。昼過ぎから着実に頒布数を伸ばしていき、13時台終盤から急激に伸び、その後は緩やかに上昇していきました。合計頒布数は46部でした。初のサークル参加としてはなかなか良かったのではないかと思います。

終了後は速やかに撤収作業をはじめました。荷物をまとめ、椅子を片付けて机を畳んでいき、開会中に出たごみは指定の場所まで捨てに行きました。段ボールなどの大きなごみも捨てることが出来ました。16:20頃には上画像のような状態となり、皆どんどん外に出ていきました。
16:30 出場

16:30には会場の外へでました。外は風が吹いていて、多少暑さがやわらいでいました。この時の自分は、自身の世界観について、コミケという場で発信出来たことに対して万感の思いを抱いていました。
まとめ
以上、コミケ体験談をお伝えいたしました。初めてのサークル参加で多少緊張したこともありましたが、自分なりに告知や準備を行ってきたので、おおむねうまい具合に進めることが出来たのではと思います。
そして何より、多くの方々と交流できたことがとても楽しかったです。ぜひ次回以降も参加してみたいと思いました。コミケのみならず、他の即売会に出てみるといったことにも挑戦してみたいですね。

ただ、今回の課題点もいろいろ浮かび上がりました。まず、ポスターにインパクトがなかったかなと感じます。というのも、ポスターを見ていただく頻度はかなり高かったのですが、上空から俯瞰している上画像が「本当にマイクラかよ?」といった疑念を生じさせるものだったのではないかと杞憂しています。そのため、もう少しクローズアップした画像を周囲に張り付けたり机上に置いたりしても良かったかなと感じました。また、都市計画・建築・土木の文言を強調するような表示物があっても良かったなと思いました。
ということで、以上コミケ体験記でした。
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